大使挨拶

令和5年3月3日
1
ラバトに着任して早1年となります。

長らく継続していたモロッコにおける衛生緊急事態宣言が2月末をもって終了しました。すでにかなり以前から街中でマスクを着用している人はほとんど見かけなくなっておりましたので、現状に制度の方が追いついたということかもしれません。我が国においても、3月13日からマスクの着用は個人の判断に委ねる形になります。いよいよ、ポスト・コロナの社会生活が本格始動するということです。一方で、未だ新型コロナウイルスの蔓延が完全に終息というわけではありませんので、油断せずに日常を旧に復していきたいと考えております。
 
1月末には、新年賀詞交換会でモロッコ在住の多くの邦人の皆様にお集まりいただきました。また、2月23日には天皇誕生日レセプションを盛況のうちに実施することができました。いずれも3年ぶりの開催となりましたが、こうした大型行事を対面で開催できたことも、新型コロナウイルスとの共生について様々な経験と知識が蓄積して、多くの人々が集まることについての社会的許容性が高まってきたことが背景にあります。大使館といたしましても、新型コロナウイルスのために見送ってきた種々の活動を順次再開してまいりますので、よろしくお願いいたします。
 
国際情勢に目を移しますと、ロシアによるウクライナ侵攻は1年を経過して和平の目途は見えませんし、トルコ・シリアでは大地震による甚大な被害が発生しております。世界的に不確実性の増大、予見可能性の低下という難しい時代になっていると感じております。そうした中、日・モロッコ二国間関係に関しては、当国の政治的な安定性、地政学的な優位という既存の要素に加えて、すでにご存じのとおり投資保護協定、二重課税防止条約の発効により日本からの投資環境が格段に向上いたしました。2月28日にカサブランカで開催されたJETRO主催のビジネス・フォーラムでは多くの参加者が今後の投資促進について議論し大いに盛り上がっておりました。これからの日・モロッコ経済関係強化に大いに意を強くした次第です。
 
2023年3月               
駐モロッコ王国日本国大使
倉光秀彰