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草の根・人間の安全保障無償協力

1. 概要

モロッコ王国に対する草の根・人間の安全保障無償資金協力スキームによる援助は、1989年に両国政府間で合意の後開始され(当初は、「小規模無償資金協力」の名称にて開始)、これまでに合計348件(2015年11月現在)実施してきています。

2. 中期戦略

現在、当館では、2006年7月に策定した中期戦略に基づき、重点地域と重点分野を定め、概ねそれらに沿った支援を行ってきています。
「以下、中期戦略の概要:

<基本的考え方>

日本が実施してきている円借款・一般無償等の既存案件のフォローアップ、補完的な位置づけ、各種技術協力(専門家、青年海外協力隊(JOCV)、シニア海外ボランティア(SV))の側面支援と相乗効果(例:JOCVの活動拠点近辺への草の根無償の供与により全体として当該コミューン等における我が国支援のビジビリティを高め、場合によっては活動そのものの側面支援的効果を期待する。)を勘案して、重点的に案件実施を行う「地域」と「分野」を設定する。

重点地域の設定は、事前調査、中間確認、完了検査等の実施において効率的に行う上でも重視。

(1) 重点地域

人間開発に係る国家イニシアティブ(INDH)において対象となる最貧地域を基本とし、①一貫性のある案件実施により効果、ビジビリティを高めると共に、②円借款、一般無償による実施案件やモロッコJICA事務所の青年海外協力隊(JOCV)の配置戦略等を踏まえ、それらのフォローアップ、補完、相乗効果を期待する。

APL - Sécurité humaineAPL - Sécurité humaine
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【首都圏(ラバト、サレ、カサブランカ、ケニトラ周辺)】
都市部における各種(社会間)格差是正への貢献、案件の管理上の「地の利」、ビジビリティといった視点から引き続き首都圏を対象としていく。

【エルラシディア県(メクネス・タフィラルト州)】
最貧コミューンを多く抱える地域の一つであるエルラシディアは、これまで日本の実績としても伝統的灌漑施設(ハッターラ)の修復・整備案件を多く実施してきており、同分野における日本の貢献が認知されているので、引き続き同取り組みを継続していく。
また、同ハッターラは砂漠化防止の使命も有していることもあり持続可能な発展・環境的側面も有している。

【アガディール(スース・マサ・ドラー州:特にスース)】
最貧コミューンを多く抱える地域の一つであるアガディール近辺は、アトラス山脈沿いに給水面で困難の残る地域が広がっており、(これまでに一般無償資金協力で累次にわたり地方給水案件に貢献してきたことも踏まえつつ)同地域での給水事業を充実させると共に、幹線道路までの舗装が未整備の村落等に対して引き続きアクセス(=格差是正上の基礎)確保に支援を行っていく。

【メクネス市、フェズ市周辺】
以下(2)の重点分野と重複するが、一般無償資金協力案件である「地方村落妊産婦ケア改善計画」と右に関連する関連技術プロジェクトの効果の維持、発展を視野に相乗効果を期待する。主に保健センター、産院等を対象とする。

(2) 重点分野

【保健・医療・妊産婦ケア・女性の地位向上:WID】
首都圏はもとより、メクネス、フェズ周辺地域やゲルミン・タタ等周辺において、INDH及び我が国の無償資金協力、技術協力プロジェクト、各種ボランティア派遣により実績と継続性を確保している保健・医療分野を当面の重点分野として設定する。(併せて同地域を重点地域の一つとする。)

【水資源開発】
当国において、BHNの中でも重要課題と位置づけられており、特に地方村落部における生活・農業用灌漑及び飲料水確保事業に引き続き関与していく。同分野においては、円借款、一般無償、技術協力と多角的に関与してきており、同実績と継続性を確保するもの。  
なお、重点対象地域として、エルラシディア(エルフード、メルズーガ近辺)のハッターラ修復・整備計画の継続、アガディール周辺の給水計画を予定。

【教育・女性の地位向上】
非識字率が依然高く、都市部、地方村落の双方における同取り組みへの支援はINDHの主要課題である。また、社会活動への編入の観点から、職業訓練、女性の地位向上プログラムについても重点課題としていく。

3. 実績

(2015年度案件までの集計)

平成27年11月17日

案件名 E/N署名年度 供与額
(億円)

草の根無償(1件)

1989年 0.01
草の根無償(3件) 1990年 0.06
草の根無償(4件) 1991年 0.11
草の根無償(5件) 1992年 0.15
草の根無償(9件) 1993年 0.25
草の根無償(10件) 1994年 0.42
草の根無償(31件) 1995年 1.10
草の根無償(23件) 1996年 1.04
草の根無償(21件) 1997年 0.89
草の根無償(19件) 1998年 0.82
草の根無償(23件) 1999年 1.01
草の根無償(28件) 2000年 1.19
草の根無償 2001年 1.03
草の根無償(20件) 2002年 0.98
草の根・人間の安全保障無償(20件) 2003年 1.49
草の根・人間の安全保障無償(12件) 2004年 0.75
草の根・人間の安全保障無償(23件) 2005年 1.67
草の根・人間の安全保障無償(11件) 2006年 0.89
草の根文化無償(1件) 2007年 0.01
草の根・人間の安全保障無償(14件) 2007年 1.29
草の根・人間の安全保障無償(12件) 2008年 1.04
草の根・人間の安全保障無償(7件) 2009年 0.57
草の根・人間の安全保障無償(11件) 2010年 0.86
草の根・人間の安全保障無償(8件) 2011年 0.67
草の根・人間の安全保障無償(4件) 2012年 0.35
草の根・人間の安全保障無償(2件) 2013年 0.14
草の根・人間の安全保障無償(3件) 2014年 0.30
供与総額 19.11

4. 草の根情報

各国によって、草の根無償の内容にも違いがあると思われます。

モロッコにおける草の根無償のイメージ把握のため、当館から、JICAモロッコ事務所の所内連絡・情報交換紙に連載していた「今月の草の根情報!」の記事を御参考までに掲載します。